オウンドメディアはウェブマーケティング戦略の一つで、「トリプルメディア」の一つに分類されるメディア。残りの2つは、バナー広告などに広告費を支払ってユーザーを集めるメディアを「ペイドメディア」、TwitterやFacebookなどソーシャルネットワークを利用して情報を発信するメディアを「アーンドメディア」と呼ばれる。
社員自らが記事を更新したり、他社とタッグを組んで共同運営するケースなどがある。
オウンドメディアの狙いと背景
オウンドメディアの狙いは「脱広告依存」にある。何故なら、自社でメディアを運営しユーザーを集めることができれば、結果的に広告の出稿を減らせる可能性がある。要は「インターネット広告に出稿するより自社でユーザーを集めちゃった方が早いんじゃね?」という考えが発端。ちなみにオウンドメディア自身が広告収益を得ているケースもある。
また近年グーグルなど検索サービスにおける、アルゴリズムの変化やSEOの最適化も背景にある。当然これまでも企業が運営するサイトやブログはあったが、かつてのように被リンクを購入することで検索上位に入ることが難しくなった。
いわゆる「コンテンツマーケティング」が重視される時代となり、企業サイトも更にオリジナルコンテンツを充実させなければいけなくなったのが大きい。またFacebookやTwitterと異なり、オリジナルコンテンツを増やせば増やすほどグーグルなど検索サービスには評価されていく。つまり「資産」としての価値が蓄積されていくので、中長期的にはオウンドメディアを運営するメリットは大きい。
つまりオウンドメディアを運営することでグーグル検索などからのアクセス流入が増え、広告に頼らずとも自社のブランドや商品を効果的にアピールできる。またオリジナルコンテンツを充実させることで常連ユーザーも増えれば、将来の見込み客を安定的に確保することも可能ということ。
3つのデメリットとリスク
ただし、オウンドメディアを運営するには一定の「リスク」や「難しさ」が伴うのも現実である。まず一つ目のデメリットは「即効性には乏しい」ということ。オリジナルコンテンツを10個20個増やしたからといって、グーグル検索にすぐ評価されるとは限らない。あくまで年単位でオリジナル記事を蓄積し続けた結果、自然な被リンクが増えてじわじわと効果として現れてくるもの。
そのためオウンドメディアは目に見えるハッキリとした成果や効果が見えづらい。もちろん将来において確実に成果が出る保障はどこにもなく、オウンドメディアを運営するコストが結果的にムダになることも多い。
例えば記事の執筆や校正、企画の発案、費用対効果の検証など業務は多岐にわたり、サーバー代やコンサルタント料も含めると企業側には相応のコスト負担が強いられる。素直にペイドメディアに広告費を投資した方が効果が高いことも多い。
2つ目はオウンドメディアは「企業が発信したい情報」を自らの意思で発信できるメリットがあるものの、企業が発信したい情報が必ずしも「ユーザーが求める情報とは限らない」ということ。一方的に自己本意な情報を発信し続けるのであれば、それはアーンドメディア(TwitterやFacebookなど)と変わらない。
そのため「ユーザーが求める情報+企業が発信したい情報」を両立させるオリジナルコンテンツを探すのが大変。例えばオウンドメディアはあくまで自社製品をアピールするための手段に過ぎないので、化粧品会社が自動車ニュースを取り扱う意味はない。当然新商品をぞくぞくと開発できるわけでもないので、意外に書けるコンテンツの幅は知れている。だからといってライバル商品を取り上げるのは本末転倒である。
そして3つ目はオウンドメディアは企業が主体となって運営する以上、個人が運営するブログ以上に法順守や道徳的モラルが求められるということ。結果的に記事が炎上してしまって、企業のブランドイメージ低下に繋がるリスクがある。
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