ストロー現象の意味を説明
ストロー現象とは、新幹線や高速道路といった交通網が発達したことによって、かえって一部の自治体が衰退し地盤沈下を起こすことをさす。「ストロー効果」ともいう。都市部へ人口が流出しやすくなる理由
交通網の出口となる都市部を「口」とすると、交通網の入口となる田舎部を「コップ」と仮定する。そうすると新幹線や高速道路という一本の細い通り道(ストロー)を介して、「コップ」の中に入っていた水(人口)が「口」にめがけて流れ出ていってしまう。本来期待していた「コップ」の中の経済がむしろ衰退する。
また途中の中継地点である自治体も通り抜けてしまい、地域経済全体そのものも思った以上に活性化されないことも多い。
この理由としては、そもそも田舎の自治体において消費する商品やサービスに乏しいことがある。だから地域外からの観光客といった人口流入が起きる可能性は低い。また逆に都市部の方が消費したくなる商品やサービスに富んでいるため、交通網が発展したことによって本来は田舎で消費されていた購買力がかえって地域外へ流れやすくなる。
語源
語源は、当時四国通産局総務部長だった小野五郎が発案した。瀬戸大橋の開通によって、四国経済のメリットはなく、むしろ本州側に消費や購買人口が吸い取られるであろうと警告。四国側をアイスコーヒーの入ったコップに見立てて、「このように美味い部分は吸い上げられ、残されたのは氷だけでは困るだろう」と揶揄した。
具体的な事例
ストロー効果の事例には、茨城県つくば市から直接秋葉原駅へアクセス可能になった「つくばエクスプレス」がある。2005年の開業以降は年々利用客が増え続け、主に家電用品を購入する客が東京の都心部へ流出。土浦駅周辺を中心として、茨城県の家電量販店は次々と撤退した。他には前述の瀬戸中央自動車道や瀬戸大橋線、JR九州や高速バス路線網などがある。
対策
不便な場所から便利な場所へ人口が流れるのは自然の摂理で、基本的には田舎の不便さを解消のがベター。田舎と都会の利便性の格差によって生まれる現象のため、大規模な交通網より日常的に使う一般道路の拡充を図る方が企業や人口の呼び込みを図れる。とはいえ小さな自治体の予算は限られているため、ストロー現象に即効性の高い根本的な対策は存在しない。
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